猫闘病記 2/10-2/15

2/10 月曜日
昨日の夜からここ最近ずっといたブランケットの上ではなく、私の部屋の奥の方だったり、椅子の下だったり、「なんでそんなところに?」というような、暗くてつめたいところにいることが増えた。やめてほしい。
なんとなく家を開けるのが怖くて、「ほんとうに家を出ないといけないか」みたいなのを考えてから出る(仕事も同様)ので引きこもりのような生活を送っている…。

2/11 火曜日
昨晩からべるたんは自分のゲージに引きこもってなかなか出てこなくなった。
べるたんのゲージはリビングと隣接した私の部屋のすみっこにあるので、覗きこみにいかないと様子がわからない。困る。健康なときは一日中ゲージにいるなんてことはありえなくて、むしろゲージの扉を閉めたらあけろあけろとうるさくすることばかりだった。
で、問題はごはんである。a/d缶に見向きもせず、口に入れればベローーと出してしまう状態。なんとかシリンジであげたとしても、そもそも呼吸がしんどくて食べたくないのであれば無理させるのはよくないし、食道のどこかに腫瘍細胞がぶつかっていたり、消化器官の機能がすでにあまりなかったりしたらムリにあげるのはただしんどいだけのように思う。
レントゲンとエコーだけではべるたんの状態把握に限界があるのでなんとも言えないが、無理にあげるのもよくないのではと思い、朝晩2回a/d缶をちょっとだけ口元にもっていって、自発的に食べられた分だけにすることにした。といっても、ほとんど食べないのだけど…。
口の周りにa/d缶がついてしまったので、口を拭くついでにあたたかいおしぼりで体全体を拭いた。前足の肉球がすごくつめたかったので手でにぎってあたためた。寒いのかなと思ってブランケットを上にかけてカイロを入れた。

2/12 水曜日
昨日の夜はいくらか出てきていたがふたたび自分のゲージにひきこもるようになってしまった。ブランケットとカイロは打ち捨てられていた(猫はなんらかの掛け物などを移動したときに一緒に持ってこれないので、そのまま元いたところに置きっぱなしになってしまう)。
これまでは半目を開けていることが多かったけど今朝はいよいよ目が1/3くらいしか開いておらず、めちゃくちゃ人相の悪い猫みたいになっている。念の為午前休をとってみたが、とくに容態には変わりなかったので午後から出勤した。朝水のお皿を顔の近くにおいておいたら、チャポォンという音とともに水入れをひっくり返した。ちゃぶ台返しやめれ。ごはん食べず。おしっこ1回したけど、出てくるところを見ていたらふらふらしながら出てきてゲージ出口で倒れるように横になっていたので多分もうあまり歩けないと思われる。
シリンジで水をあげたらよく飲んだけど、しばらく飲むと「ケプッ」と息を吐いておとなしくして、それからまた飲もうとする。
夜寝ようとしたら、元気な頃によく乗っていたダイニングの椅子の近くにいたので「乗りたいのかな」と思って抱き上げて椅子にのせた。しばらくぐるぐる言っていたので、自分のにおいがするやわらかいクッションのほうがいいのかなと思ってクッションを椅子からはずして床においてあげた。クッションの上にずっといた。

2/13 木曜日
朝起きてもべるさんはクッションの上にいたので一晩中ずっとそのままでいたらしい。お水をシリンジであげたら昨日と違って口に入れたほとんどをこぼす。横になって首もあげずにぐったりとしているので酸素マスクを顔に近づけたが「それはいやです」という感じでその時は起き上がってちょっと元気そうにふるまうがやっぱりぐったりと横になっている時間が多い。ダメ元で酸素室をかぶせたら30分ほどは出てこなかったので、酸素の機械をつけっぱなしにして出勤した。
帰ったらべるさんは外に出ていて、なにもない酸素室の中に酸素を送っていた。酸素室にいたほうが楽なハズなんだからそこにいてくれ…。
おしっこがでない。うんちもなし。

2/14 金曜日
べるたんは昨晩から自分のゲージに入って横たわったまま。一晩中ずっとその体勢のようだった。朝お水をあげてみるもやっぱり口からほとんどをこぼしてしまう。
夜、仕事から帰ってきてもおなじ体勢で、こちらをちらっと見るがこれまでのように上半身を起こすようなことはない。
8時ちょっと前に突然大きい声で鳴いたのであわてて様子を見に行くと、激しく嘔吐して顔をぶんぶん振っている、3回くらい嘔吐(といっても出てくるのは水分だけ)、そのあと大きめの口呼吸をずっとしていて、酸素マスクをつけてもおさまらない。動物病院に「まだ大丈夫ですか?」と電話、時間外診療で診てもらうことにした。
動物病院につくなりエコーでみてもらったのだが心拍が低下してるのでもしかしたら胸水抜いてる途中に心停止するかもしれません…と言われる。
とはいえ見てるだけにもいかないので胸水は抜いてもらった。90cc。心拍を早くする注射と補水の点滴をしてもらう。「寒い中歩いて病院に行って太い注射針で胸水を抜くのもしんどいかなと、しばらく様子を見てみたけど、やっぱり週2で来たほうがいいんですかね」と聞いてみる。「しかし90取ってほぼ胸水がない状態になってもこの感じとなると、もはやできることは限られますよね…」といわれる。手が冷たいんですと言ったら「温めてあげるしかないですが、しかし循環も悪くなってるので限界が…」といわれる。ヒンヤリというか、ちょっとゾワッとするつめたさ。すごくいやだが死体のつめたさに似ている。
とりあえずは口呼吸がおさまったので家に連れて帰った。湯たんぽにお湯を入れておなかの横に置き、手足があたたまるようにした。たまに「ニャーン」と鳴くのでカラスの行水で風呂に入った。
べるさんのゲージがある部屋にマットレスを敷き、その半分にペットシーツをしいて、べるたんを寝かせ、湯たんぽとブランケットをかけて、自分はふとんをかけて添い寝することにした。

2/15 土曜日
夜中の3時頃に「ニャオーーー!ニャオーー!」と大きく鳴いて足をバタバタさせたりよろよろと立ち上がったり、吐きそうなそぶりを見せたりしたので頭をなでて落ち着かせようとするも、ペットシーツをしいたマットレスから出てしまう。声を聞きつけた夫が部屋に来る。しばらくふたりで見ていたら落ち着いてきた。もとの場所に戻した。
3時から6時頃まではずっと、たまに「ニャー」と鳴くので顔を撫でたりからだをさすったり手(前足)をにぎってあたためたりしつつ、あいまに寝るような状態だった。
6時すぎに無理に立ち上がったりごろごろ転げたりする音で起きて、あわわ、と起き上がったらかけぶとんと私の体の隙間めがけて突撃してきて、数分そこにおさまった。ここのほうがいいのかなと思い、ペットシーツの位置を移動させようとしたらまたニャアニャア言いながらごろごろしだして、結局マットレスのそばの床に落ち着いた。
9時45分頃におしっこのにおいがしたので確認するとペットシーツから微妙にはみ出したところにおしっこしており、ウエットティッシュティッシュを総動員してあたりの拭き掃除をした。そのうちにまた「ニャオーー!ニャオーーー!」と言ってばたばた動いたので頭をなでたりしながら落ち着くのを待っていたら、呼吸がどんどん弱くなって、瞳孔が真ん丸に開いている。べる、べる、べるさん、と名前を呼びながらからだをなで続けた。大きく息をしていた胸が動かなくなって、コッ…コッ…とせきのような呼吸を何度か繰り返したのち、それも終わって、鼻からダーっと水が出てきた。ティッシュで鼻をおさえてあげながら、ああ、旅立ってしまったんだな、と思った。鼻から出てきた水はおそらくほとんどが補液したものだと思う。
2020年2月15日、午前10時8分臨終。享年13歳1ヶ月だった。

 

1月28日に様子がおかしくなって動物病院にかかってから、わずか3週間足らずの出来事だった。急坂を転げ落ちるような進行だった。

昨年の夏頃から毛玉の出ないゲロ(のちに咳だったことがわかる)をするようになったなあ、とは思っていたが、あの時点で仮に動物病院にかかっていても、多分結末はこの時期が多少後ろにずれたかもというレベルだったと思う。胸水がたまるようになってからもレントゲンとエコーだけでは特定できない腫瘍だったということは、見逃されていたはずである。仮に、なにやらこれは腫瘍がありそうだ、というところまで判明し、CTを撮っていたとしても、もし中皮腫ならたぶんできることは変わらなかった。中皮腫に対してできることはほとんどないからである。


けさから何度もゲージの中を確認しているが、そこには冷たくて硬い遺体がのこっているだけで、そうか、そうだった、もう何も気にしなくていいんだ、鳴き声でなんだなんだって見に行かなくていいんだ…。とうちひしがれるのだが、しばらくするとまた覗きに行ってしまう。しずかだな、どうしたかな、と。
そしてやっぱりそこには誰もいないのだ。

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鈴木家に来てから12年と11ヶ月、文字通り私の半生はベルと共にありました。

まちがいなく世界一かわいいねこでしたよ。ありがとう。

 

今週のお題「大切な人へ」